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2024年4月14日日曜日

23. ヒギンズによれば、行為者は自らの自己概念と彼(彼女)の関連する自己指針の一致を維持しようと動機づけられる。一致が達成できないと、否定的感情が生じる。(E・トリー・ヒギンズ)ジョナサン・H・ターナー(1942-)

ヒギンズによれば、行為者は自らの自己概念と彼(彼女)の関連する自己指針の一致を維持しようと動機づけられる。一致が達成できないと、否定的感情が生じる。(E・トリー・ヒギンズ)ジョナサン・H・ターナー(1942-)



「自己不一致理論の基礎的な着想は、情動がいずれか一つの自己状態の表象内容の結果であるよりも、むしろ別々の自己状態の表象間の結果であると見なす。

異なる型の自己状態の表象を判別するため、ヒギンズ(1987,1989)は二つの心理的次元を用いる。

(1)自己の領域と、(2)自己に関する異なる見方である。

前者によってヒギンズは三つの領域を識別する。(a)現実の自己(あなた[あるいは他者]が、あなたが現に保有していると考えている属性)、(b)理想的な自己(あなた[あるいは他者]が、あなたが保有したいと欲している(あるいは望んでいる)特定な自己の特徴)、(c)当為としての自己(あなた[あるいは他者]が、あなたがもつことを義務あるいは責務と感じている自己の特徴)。

自己に関する第二の次元、つまり自己に関する異なる見方は、(a)自分自身の見方と、(b)家族や友人など重要な他者の見方をともなう。  

自己の異なる領域が自己についての異なる見方と結びつくと、さまざまな自己状態の表象が現われる。

たとえば現実的/自分自身の自己、現実的/他者の自己、理想的/自分自身の自己、理想的/他者の自己、当為的/自分自身の自己、当為的/他者の自己である。

ヒギンズは最初の二つの「自己」(そしてとくに現実的/自分自身の自己)が個人の自己概念に近似していると主張する。

彼は残りの四つの「自己」を自己の指針と呼んでいる。ヒギンズによれば、行為者は自らの自己概念と彼(彼女)の関連する自己指針の一致を維持しようと動機づけられる。一致が達成できないと、否定的感情が生じる。

この着想がアイデンティティ制御理論や情動制御理論ときわめて近似していることに注意してほしい。」

 
現実的/自分自身の自己 理想的/自分自身の自己 現実-理想の不一致 落胆に関する感情
憂鬱、悲しみ、不満
現実的/自分自身の自己 理想的/他者の自己 現実-理想の不一致 落胆に関する感情
恥、当惑
現実的/自分自身の自己 当為的/自分自身の自己 現実-当為の不一致 動揺に関する感情
不安、罪、自虐
現実的/自分自身の自己 当為的/他者の自己 現実-当為の不一致 動揺に関する感情
恐れ
(ジョナサン・H・ターナー(1942-)『感情の社会学理論』第4章 象徴的相互作用論による感情の理論化、pp.267-269、明石書店 (2013)、正岡寛司(訳))

感情の社会学理論 (ジョナサン・ターナー 感情の社会学5) [ ジョナサン・H・ターナー ]



2018年5月4日金曜日

6.現在の状況が感じさせる「落胆および不満」と「罪悪感および自己卑下」が、理想自己、あるべき自己を暗示する。「恥および当惑」と「恐れおよび危機感」が、特定の重要他者が考えると想定している理想自己、あるべき自己を暗示する。(E・トーリー・ヒギンズ(1946-))

理想自己とあるべき自己

【現在の状況が感じさせる「落胆および不満」と「罪悪感および自己卑下」が、理想自己、あるべき自己を暗示する。「恥および当惑」と「恐れおよび危機感」が、特定の重要他者が考えると想定している理想自己、あるべき自己を暗示する。(E・トーリー・ヒギンズ(1946-))】
自己不一致の例。
 わたしたちの現在の状況が「悲しみ」を感じさせるとき、その程度により「落胆および不満」と「罪悪感および自己卑下」とが区別される。「落胆および不満」は、現実自己と理想自己の信念の不一致を示し、「罪悪感および自己卑下」は、現実自己とあるべき自己の信念の不一致を示す。
 わたしたち自身によって過去なされたことについての、または現在のわたしたち自身についての、他の人たちが持ちうる意見を考えるときに「恥」を感じさせるとき、その程度により「恥および当惑」と「恐れおよび危機感」とが区別される。「恥および当惑」は、現実自己の信念と、特定の重要他者が考えると想定している理想自己との不一致を示し、「恐れおよび危機感」は、現実自己の信念と、特定の重要他者が考えると想定しているあるべき自己との不一致を示す。

(出典:Social Psychology Network
検索(E・トーリー・ヒギンズ)
「注:「自身」はその人自身の視点を、「他者」は重要他者(例:父親)の視点をさす。 [出典:Higgins(1987)に基づいて作成]」
自己不一致 誘発される感情
現実/自身 と 理想/自身 落胆および不満 私は、自分がなりたいほどには魅力的でないので、がっかりしてしまう。
現実/自身 と 理想/他者 恥および当惑 私は、両親が「こうあってほしい」と願うほど親切な人間ではないので、恥ずかしい。
現実/自身 と あるべき/自身 罪悪感および自己卑下 私は自分が嫌いだ。もっと強い意志をもたなければならないのに。
現実/自身 と あるべき/他者 恐れおよび危機感 私は、父が期待するほどには試験でがんばらなかった。父が怒るのではないかと心配だ。
(ウォルター・ミシェル(1930-),オズレム・アイダック,ショウダ・ユウイチ『パーソナリティ心理学』第Ⅴ部 現象学的・人間性レベル、第13章 内面へのまなざし、p.405、培風館 (2010)、黒沢香(監訳)・原島雅之(監訳))
(索引:現実自己、理想自己、あるべき自己)

パーソナリティ心理学―全体としての人間の理解



(出典:COLUMBIA UNIVERSITY IN THE CITY OF NEW YORK
ウォルター・ミシェル(1930-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers) 「個人が所有する自由や成長へのわくわくするような可能性には限りがない。人は可能自己について建設的に再考し、再評価し、効力感をかなりの程度高めることができる。しかし、DNAはそのときの手段・道具に影響を与える。生物学に加えて、役割における文化や社会的な力も、人が統制できる事象および自らの可能性に関する認識の両方に影響を与え、制限を加える。これらの境界の内側で、人は、将来を具体化しながら、自らの人生についての実質的な統制を得る可能性をもっているし、その限界にまだ到達していない。
 数百年前のフランスの哲学者デカルトは、よく知られた名言「我思う、ゆえに我あり」を残し、現代心理学への道を開いた。パーソナリティについて知られるようになったことを用いて、私たちは彼の主張を次のよう に修正することができるだろう。「私は考える。それゆえ私を変えられる」と。なぜなら、考え方を変えることによって、何を感じるか何をなすか、そしてどんな人間になるかを変えることができるからである。」
(ウォルター・ミシェル(1930-),オズレム・アイダック,ショウダ・ユウイチ『パーソナリティ心理学』第Ⅶ部 各分析レベルの統合――全人としての人間、第18章 社会的文脈および文化とパーソナリティ、p.606、培風館 (2010)、黒沢香(監訳)・原島雅之(監訳))

ウォルター・ミシェル(1930-)
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5.自己に関する概念のタイプ:現実自己、理想自己、あるべき自己に関する信念。特定の重要他者が考えているであろう現実自己、理想自己、あるべき自己に関する自分自身の想定。(E・トーリー・ヒギンズ(1946-))

現実自己、理想自己、あるべき自己

【自己に関する概念のタイプ:現実自己、理想自己、あるべき自己に関する信念。特定の重要他者が考えているであろう現実自己、理想自己、あるべき自己に関する自分自身の想定。(E・トーリー・ヒギンズ(1946-))】
自己に関する概念のタイプ
(a) 現実自己/自身:自分が実際に持っている属性に関する信念。
(b) 理想自己/自身:自分が理想として持ちたい属性に関する信念。
(c) あるべき自己/自身:自分が持つべき属性に関する信念。
(d) 現実自己/他者:特定の重要他者が考える、自分が実際に持っている属性に関する想定。
(e) 理想自己/他者:特定の重要他者が考える、自分が理想として持ちたい属性に関する想定。
(f) あるべき自己/他者:特定の重要他者が考える、自分が持つべき属性に関する想定。

(出典:Social Psychology Network
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「注:各概念の表象には自分自身の観点だけでなく、重要他者の視点からの表象も含まれる。例えば、あなたの父親が考える「あるべきあなた」についての、あなたの知覚(例:やさしいよりも強くあれ)は、自己の「あるべき/他者」表象である。
[出典:Higgins(1987)に基づいて作成]」
自己概念 定義
現実自己 自分自身による自分の表象。自分が実際にもっている属性に関する信念。 私は、思いやりがあり、温かく、スポーツが得意で、魅力的な人間だ。
理想自己 こうありたいと希望し願う自分自身の表象。理想としてもちたい属性に関する信念。 私がぜひなりたいのは、気前がよく、寛容で、やり手で、人気があり、才気にあふれた、愛される人間だ。
あるべき自己 あるべき自分、あるべきだと感じる自分の表象。自分がもつべき属性に関する信念。つまり、もつべき義務があるもの。 私はもっと、野心的で、強く、よく働き、自分に厳しい人間であるべきだ。
(ウォルター・ミシェル(1930-),オズレム・アイダック,ショウダ・ユウイチ『パーソナリティ心理学』第Ⅴ部 現象学的・人間性レベル、第13章 内面へのまなざし、p.404、培風館 (2010)、黒沢香(監訳)・原島雅之(監訳))
(索引:現実自己、理想自己、あるべき自己)

パーソナリティ心理学―全体としての人間の理解



(出典:COLUMBIA UNIVERSITY IN THE CITY OF NEW YORK
ウォルター・ミシェル(1930-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers) 「個人が所有する自由や成長へのわくわくするような可能性には限りがない。人は可能自己について建設的に再考し、再評価し、効力感をかなりの程度高めることができる。しかし、DNAはそのときの手段・道具に影響を与える。生物学に加えて、役割における文化や社会的な力も、人が統制できる事象および自らの可能性に関する認識の両方に影響を与え、制限を加える。これらの境界の内側で、人は、将来を具体化しながら、自らの人生についての実質的な統制を得る可能性をもっているし、その限界にまだ到達していない。
 数百年前のフランスの哲学者デカルトは、よく知られた名言「我思う、ゆえに我あり」を残し、現代心理学への道を開いた。パーソナリティについて知られるようになったことを用いて、私たちは彼の主張を次のよう に修正することができるだろう。「私は考える。それゆえ私を変えられる」と。なぜなら、考え方を変えることによって、何を感じるか何をなすか、そしてどんな人間になるかを変えることができるからである。」
(ウォルター・ミシェル(1930-),オズレム・アイダック,ショウダ・ユウイチ『パーソナリティ心理学』第Ⅶ部 各分析レベルの統合――全人としての人間、第18章 社会的文脈および文化とパーソナリティ、p.606、培風館 (2010)、黒沢香(監訳)・原島雅之(監訳))

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